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木工教科書

2024年03月06日(水)

知っておきたい造作材の基礎知識:素材、役割、種類。

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知っておきたい造作材の基礎知識:素材、役割、種類。

造作材とは、建築内部の仕上げ材・取り付け材の総称です。具体的には、天井、床、壁、棚、階段、窓枠、ドア枠、巾木、廻り縁など、室内空間を構成する様々な部材を指します。

造作材は単に空間を仕切るだけでなく、美しい木目や質感によって空間を格調高く、温かみのある雰囲気に変えてくれます。また、調湿や防音などの機能性を持つ造作材もあり、快適な空間づくりにも役立ちます。

造作材は、空間のデザインや機能性を左右する重要な要素です。

造作材の素材は針葉樹が主流、広葉樹は特別な場所

造作材の多くは、マツやスギなどの針葉樹でできています。広葉樹は、サクラやケヤキなど美しい木目を持つものが多いですが、加工が難しく、造作材として使われることは稀です。しかし、クワと呼ばれる広葉樹は、高級な建具や仏壇などに使われる最高級の造作材として知られています。

造作材の役割は空間を美しく、快適に

造作材の役割は、単に空間を仕切るだけではありません。美しい木目や質感は、空間を格調高く、温かみのある雰囲気に変えてくれます。また、調湿や防音などの機能性を持つ造作材もあり、快適な空間づくりにも役立ちます。

日本の伝統的な和室では、高級な造作材を用いることで、空間全体の完成度を高めることがよくあります。一方、西洋風の洋室では、化粧板を張った集成材などの造作材が使われることも増えています。

造作材の種類

窓枠

窓枠(まどわく)は、人や物の出入り口として設けられる開口部を収める装飾材料です。ナチュラル色を使用すると、空間全体が統一感を持ち、広々とした開放感が生まれます。ただし、壁の色と調和しない色を選ぶと、空間の一体感が失われ、不整合な印象を与えることがありますので、注意が必要です。

無目枠

無目枠とは、扉の開口部を取り囲む枠部分のみを指し、建材やエクステリアの一部です。通常、玄関の扉などには使われず、室内を仕切る木製ドアに用いられます。無目枠の素材は一般的にMDFと呼ばれ、木材を繊維状に加工し、接着剤などで板状にした繊維板です。表面にはオレフィンシートがカバーされ、耐久性が向上しています。無目枠には縦用と横用がありますので、用途に応じて選ぶようにしましょう。

廻り縁

廻り縁は、見切り縁の一種です。

見切り縁は、複数の面や仕上げが異なる箇所、例えば天井と壁、壁と床などに設けられ、廻り縁はその中でも天井と壁が接する部分に設置されます。

複数の面が交差する箇所は仕上げが難しいため、廻り縁はこの部分を隠すために取り付けられます。

廻り縁には二重廻り縁や隠し廻り縁などの種類があります。素材としては、和室の天井などには木製が使われますが、塩化樹脂製は形状が多様でありながら安価です。また、高級感のある金属製としてはステンレスやアルミがあります。

巾木(はばき)

巾木は、壁と床の境界に取り付ける部材です。見た目には不要そうに思われますが、取り付ける理由は大きく2つあります。

壁と床の隙間を隠す

施工時に完璧に隙間なく調整するのは難しいため、床材の伸縮に備えて隙間を設けることで、床鳴りやたわみを防ぎます。また、巾木がないと隙間にゴミがたまったり、風が入ったりします。

壁を汚れから守る

床の隅は掃除機やモップが当たりやすい場所であり、巾木がないと壁が汚れやすくなります。巾木は壁紙や塗り壁を保護する役割も担っています。

巾木の色は、壁に合わせて白にすることが一般的ですが、汚れを気にする場合はフローリングに合わせた色を選ぶと傷や汚れが目立ちにくくなります。

巾木(はばき)

框(かまち)

床の間や玄関、建具の部分に「横」に設置される化粧材を指し、読みは「かまち」となります。

床の間は和室において一般的に掛軸や置物、花瓶などを飾る空間であり、床が一段高くなっています。この床の間に取り付けられる横材を指して「框」と呼びます。

框は床と畳の段差にあり、手前の畳との境目を示す材料であり、床框とも呼ばれます。玄関に設置される横材は「玄関框」と呼ばれ、建具では周囲を固める四周部材を框と呼び、その横の部分を「横框」、縦の部分を「縦框」と呼びます。

台輪(だいわ)

「台輪」とは、タンスや戸棚などの箱型家具の底辺部分で、箱体の台座となる部分を指します。これは家具が床に接する部分であり、上部の本体を支える基盤として機能します。

台輪は床からの汚れや湿気から本体を保護し、また掃除機などによる衝撃が本体に及ぶのを防ぎます。台輪には、本体と一体化しているものと、本体と分離できるものの2種類があります。

台輪の高さは一般的に10〜40cm程度であり、以前はキッチンの家具の高さ調整においてよく使用されました。本体と一体化している場合は、調整が必要ないものもあります。また、デッドスペースとなっている台輪部分に注目し、スライド式の収納を備えたキッチンキャビネットなども存在します。

台輪(だいわ)

見切り

見切り材は、床のフローリングやタイル、化粧合板、壁、天井など、異なる仕上げ材が接する部分に挿入される装飾材料です。

これらの取合部分では、異なる材質同士が接するために隙間や段差が生じやすく、地震や経年劣化によってさらに広がることがあります。

そのため、見切り材の役割は重要です。見切り材は外観上の美観を保つだけでなく、防湿性や防水性、劣化防止などの効果も期待できます。

床に用いる場合は「床見切り材」、壁に用いる場合は「壁見切り材」と呼ばれます。見切り材の材質はさまざまで、塩ビシート製のものはコストが低く、切り取りや曲げなどの加工も容易で、素人でも取り付けが可能です。

見切り

東邦木材では、自社製造のフローリングと共に同工場にて「造作部材」も製造しております。フローリングと共に壁・天井材/見切り/巾木/台輪/上りかまち といった室内装飾部分にもフローリングと同樹種での統一が可能です。(北海道産タモ・ナラ・カバにて製造をしております。)

東邦木材の造作材素材

北海道産タモ

モクセイ科の広葉樹である北海道産タモは、一般的に木目や木理が均一であることが評価されますが、ヨーロッパでは変わった形の杢や節などが高く評価され、銘木として扱われることもあります。このような銘木級の木材は、万年筆やナイフなどのボディー、家具などの象眼に利用されることがあります。その木柄は本当に素晴らしく、見る者を魅了します。

北海道産タモ材は、無垢フローリングとして使われる際には、銘木を使うのではなく、素直で狂いが少なく加工しやすい木材が選ばれます。北海道産タモフローリングは、想像されるような年輪や木目を実現し、素直で美しい杢目は落ち着いた空間を演出します。

北海道産タモ

ナラ

ナラ(楢)は、ブナ科のコナラ属に属する広葉樹の総称です。つまり、ナラにはブナやコナラ、さらにはクヌギなどが含まれます。ナラは、中国、インド、タイ、ロシア、ヨーロッパなどの北半球に広く分布し、日本では北海道から九州まで広く見られます。

ナラはその見た目の美しさに加えて、あらゆるシーンで高い実用性を持つ素材です。日本ではほとんどの場合、「ミズナラ」がナラ材として使用されます。ミズナラは樹齢が500〜1000年に達することがあり、その生命力と耐久性の高さがうかがえます。

英語では、ミズナラは「Japanese Oak」と呼ばれますが、ナラ材という名称はほとんどがミズナラを指します。名前に「Japanese」と付けられていますが、必ずしも国産とは限らず、モンゴル産のナラ材なども流通しています。特に北海道産のナラ材は高品質とされています。

ナラ

カバ

カバノキ科のカバノキ属に属する落葉広葉樹で、主に北海道を中心に本州北中部などに分布しています。産地は中国北部やロシア、北朝鮮、ヨーロッパ、北米などです。

この木はマカバ、ウダイカンバ、バーチなどとしても知られています。また、カバザクラとも呼ばれますが、これは本来バラ科のサクラとは異なる木であり、ただしい木目と白っぽい色合いが似ていることからそう呼ばれています。

カバ材の特徴は、キメ細かく光沢のある美しい木肌です。この木材の優しい白色と相まって、上品な雰囲気を醸し出します。また、傷や衝撃にも強く、学校や体育館、ダンススタジオなどの床に使われることもあり、家具に用いれば長年にわたって愛用できる逸品となります。

さらに、カバ材は天然の木材でありながら、経年変化による色の変化が少ないため、長期間使用しても購入時の美しさを保ちます。そのため、明るくナチュラルな雰囲気の家具をお探しの方や、長く使える家具をお求めの方に最適です。

カバ