建具に使う木材の種類とは?それぞれの特徴や選び方について徹底解説

新築やリフォームの際に木製建具の導入を検討する方は多いでしょう。しかし、木材の種類は豊富で、建具の用途もそれぞれ異なります。用途を考慮せずに木材を選ぶと、安全面のトラブルや思わぬコスト増につながる場合があります。

こうしたリスクを避けるためにも、木材ごとの特徴やメリットをしっかり把握することが重要です。

今回は、旭川家具に精通する木工のプロ「旭川木工センター」が、建具に使う木材の種類と選ぶ際のコツについて解説します。建具におすすめの樹種も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

建具とは?主な種類と役割

建具(たてぐ)とは、住宅の開口部や内部に取り付ける開閉式の仕切りの総称です。例えば、障子や襖(ふすま)・ドア・窓などが建具に含まれます。

建具は、建築物には欠かせない重要な設備で、その種類や役割は多岐にわたります。建具の分類方法は、役割・材質・開閉方式などさまざまな基準がありますが、以下では「役割」別に主な種類をまとめました。

出入り口建具

出入り口建具とは、人の出入りを目的とした扉全般の総称です。頻繁に開閉されるため、スムーズな動作と高い耐久性が求められます。

さらに、防音性や断熱性、プライバシーの確保、防犯性などの機能性に加えて、素材や色合い、取っ手や装飾などのデザイン性も重視されます。

窓建具

窓建具とは、建物の開口部に取り付けられる窓枠・ガラス・サッシなどを指します。気密性や断熱性が建物の快適性に影響を与えるため、採光や通風、防犯性のバランスが重視されます。

収納建具

収納建具とは、クローゼットや下駄箱、押入れなど、収納スペースを仕切る扉や襖を指します。頻繁に開閉されるためスムーズな動作と耐久性はもちろん、お部屋の空間をすっきりと見せるデザイン性も求められます。

外構建具

門やフェンス、カーポート、ウッドデッキなど、建物の外に設置される構造物や設備を指します。建物の見た目を良くする目的に加え、機能性や防犯性を高める役割も担っています。

建具に木材を使用する利点

建具に木材を用いる利点は、木のぬくもりや自然な風合いを感じられる点です。木目の豊かな表情や優しい手触りなど、温かみのある自然な雰囲気が楽しめます。

同じ樹種でも木目や色味は一枚ごとに異なるため、オリジナルの建具に仕上がるのも魅力です。また、木材は断熱性や湿度を調整する働きがあり、快適な室内環境づくりにも役立ちます。

無垢材と集成材の建具の違い

建具に使われる木材の種類は、無垢材と集成材の2つに大きく分かれます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、用途に応じて選ぶことが大切です。

無垢材の建具

無垢材とは、1本の木から切り出して加工した天然の木材で、木そのものの風合いや質感に直接触れられるのが魅力です。無垢材を使用すれば、扉や窓を開け閉めするたびに木のぬくもりをダイレクトに感じられます。

経年変化により色合いや風合いが少しずつ変化する性質もあるため、時間が経つにつれて味わいが深まり、使うほどに愛着が増します。小さな傷であれば、研磨とオイル塗装の塗り直しで補修できるため、美しい状態を長く保てます。

一方、無垢材のデメリットは、湿気や乾燥によるヒビ割れや反りなど変形が起こりやすい点です。建具に使用する木材は、熱乾燥処理など変形のリスクに配慮したものを選びましょう。

また、湿気や紫外線による劣化も生じやすく、玄関ドアや門など屋外で使用する場合にはオイル塗装などの定期的なメンテナンスが必要です。さらに、集成材に比べ、加工に手間がかかるため価格が高くなる傾向にあります。

集成材の建具

集成材とは、一本の木から切り出した小さな角材(ラミナ)を接着剤で貼り合わせた板材のことを指します。

製材の過程で節や割れ、反りなどの欠点を取り除くため、無垢材に比べて強度が高く品質が安定しています。そのため、建具に使用した場合は、扉や枠組みの歪みを抑えられるのがメリットです。

また、複数のラミナを接着して作られることから、サイズの調整や加工が容易でコストも抑えられます。ただし、無垢材のような風合いは感じられないため、デザイン性よりもコストや耐久性を重視する方に適しています。

集成材は無垢材よりも品質が安定していますが、接着剤の劣化に伴い耐用年数が短い傾向にあります。特に、湿気や温度変化が高い場所では接着力が低下しやすいため、トイレや浴室などの建具には適していません。

建具に使用される木材の種類と特徴

以下では、建具に使用される木材の種類と特徴を詳しく解説します。建具に使う木材選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

ウォールナット

ウォールナットはチークやマホガニーと並ぶ世界三大銘木のひとつで、人気が高く、高級木材の代名詞ともいえる樹種です。硬く耐久性に優れているうえ、加工しやすく変形しにくいため、建具にも適しています。

木肌は紫みを帯びた濃い茶色で、まっすぐ通った美しい木目が特徴です。経年変化により徐々に明るみを増すため、長期間にわたり風合いの変化を楽しめます。

画像引用元:太陽工業有限会社

落ち着きのある大人の雰囲気を感じさせ、洗練された空間にも自然に溶け込みます。特に、和モダンやラグジュアリーな空間によく合います。

マホガニー

マホガニーは、チーク・ウォールナットと並び、世界三大銘木のひとつとしてよく知られています。木肌は赤みを帯びた茶色で、「リボン杢」と呼ばれるストライプ調の木目が美しいのが特徴です。経年変化によって深みのある飴色へと変わり、落ち着きのある風合いが楽しめます。

また、軽量で加工性にも優れているため、玄関ドアや引き戸など、開閉頻度が高い建具にも適しています。耐久性も高く、反りや割れが起こりにくいため、長期間にわたって美しい状態を維持しやすいのも魅力です。

画像引用元:太陽工業有限会社

シックで落ち着いた雰囲気です。深みのある色合いや美しい木目から、クラシックやアンティーク調、ヴィンテージスタイルなど、重厚感や高級感を求めるインテリアテイストによく合います。

オーク(ナラ)

オークは耐久性や耐水性にも優れた樹種で、硬く重量もあるため、玄関ドアや室内ドアなど、強度が求められる建具に適しています。

また、明るいベージュ色の木肌と、切断方法によって現れる虎斑(とらふ)模様の木目も魅力です。明るく高級感が感じられるため、お部屋に上品さをプラスしたい場合にも適しています。

画像引用元:太陽工業有限会社

明るく落ち着きのある印象です。北欧テイストや、ナチュラルテイストともよく合います。

タモ

タモは、均一ではっきりとした木目と淡いピンクに近い色合いで、経年変化は穏やかな樹種です。耐久性や耐衝撃性にも優れており、硬さもあるため、建材や家具、野球バットなどのスポーツ用品にも使われています。

なお、タモはオークに似た性質を持っていますが、しなやかで割れにくく加工しやすい点が大きな違いです。デザイン性や耐久性、加工のしやすさに優れているため、建具にも安心して使えます。

画像引用元:太陽工業有限会社

明るくナチュラルな印象があり、北欧テイストや和風テイストなど、幅広いインテリアに合わせやすいです。

建具の木材の種類の選び方

建具の木材の種類を選ぶ際は、木目や色味・用途・コストの3つに着目しましょう。

木目・色味

建具は目につきやすく、建物の雰囲気を決める重要な要素です。例えば、濃い茶色や黒などは高級感や重厚感、白に近い色やベージュなど明るい色味は子ども部屋など優しく温かみのあるイメージに仕上がるでしょう。

また、他の木材との合わせ方がわからない場合には、フローリングや家具の色に合わせると統一感が増すのでおすすめです。

  • 高級感・重厚感を重視…ウォールナット、マホガニー、オーク(ナラ)
  • 明るくナチュラルな雰囲気…オーク(ナラ)、タモ

設置場所の環境

設置場所の環境に応じて、木材の種類を選ぶことも重要なポイントです。木材は種類によって耐水性・耐候性などの特性が異なります。

玄関ドア、勝手口ドア、門など屋外に面する場所は、雨風や紫外線による影響が生じやすいため、耐水性・耐候性に優れた素材を選ぶと良いでしょう。

リビングや寝室など、使用頻度が高い場所では安全性が高くスムーズに開閉できるよう、耐久性に優れた軽い素材の木材がおすすめです。

コスト

建具に用いられる木材は、大きく「無垢材」と「集成材」の2種類に分かれます。無垢材は質感や風合いに優れていますが、一般的にコストが高く、すべての建具を無垢材で仕上げると費用がかさむ可能性があります。

また、屋外や湿気・乾燥にさらされやすい場所では、定期的なメンテナンスが欠かせません。コストを抑えるには、外観重視の建具は無垢材、目立たない部分は集成材と使い分けると良いでしょう。

まとめ

建具に使う木材は、無垢材・集成材の違い、各樹種の特徴、設置場所や用途にあわせた選び方が重要です。また、どの木材も定期的な塗装などのメンテナンスが耐久性維持には不可欠なため、それも考慮する必要があります。

ぜひ本記事を参考に木材選びからメンテナンスまでトータルで考え、納得のいく木製建具を実現してください。

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