自宅のフローリングや外壁、家具などに使われる木材には、さまざまな種類があります。その数は100種類以上に上るといわれており、それぞれ木目や色、硬さ、香りなどに違いがあります。
木材を選ぶ際は、それぞれの特徴を知り、目的や用途に応じて適切なものを選ぶことが大切です。
今回は、旭川家具に精通する木工のプロが、木材の種類の調べ方と、木材を選ぶポイントについて解説します。DIYや家具選びの際に、ぜひご活用ください。
木材の代表的な種類と特徴
木材にはさまざまな種類がありますが、大きく分けると「針葉樹」と「広葉樹」の2つに分類されます。まずは、それぞれの特徴や違いを見てみましょう。
針葉樹(スギ・ヒノキ・マツ など)
針葉樹は、針のように細長い葉を持つ樹木で、幹は上に向かってまっすぐに伸びるのが特徴です。
木目がはっきりとしており、材質は柔らかく加工しやすいため、「ソフトウッド」とも呼ばれます。主に、ウッドデッキや屋根材などの建築資材に使われることが一般的です。
代表的な木材
樹種 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
スギ | ・軽量で加工しやすく、調湿効果がある・耐久性はあるが傷がつきやすい・価格は比較的安価 | ・建築用材、家具、酒樽、工芸品 |
ヒノキ | ・美しい木目と肌触りの良さが特徴・防虫や殺菌、耐久性、防湿性に優れている | ・柱や構造材、フローリング、家具、神社仏閣 |
マツ | ・柔らかく加工しやすい・防腐効果がある・肌触りが良い | ・梁や桁、屋根骨組み、土木用材 |
ヒバ | ・抗菌や防虫、防腐効果に優れている・希少性が高く、コストが高い | ・柱や梁、天井板、フローリング、建具 |
ホワイトウッド | ・北欧の代表的な樹種・軽量で加工しやすい・耐久性は低い | ・建築用材、家具、楽器、DIY素材 |
広葉樹(ナラ・カエデ・ウォールナット など)
広葉樹は、手のひらのように丸みを帯びた葉を持つ樹木で、針葉樹に比べて背が低く、横に広がる性質があります。材質は硬く、丈夫なものが多いため「ハードウッド」と呼ばれています。フローリングや家具など、耐久性が求められる用途に使われる場合が多いです。
代表的な木材
樹種 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
カバ | ・キメ細かい木目と白っぽい色合いが特徴・傷や水に強く、経年変化が少ない | ・家具、床材、楽器、工芸品 |
ナラ | ・特有の美しい木目がある・耐久性が高く、経年変化を楽しめる | ・床材、家具、内装材 |
ブナ | ・粘りがあり、曲げに強い・耐久性は低い | ・曲木家具、内装材、スキー板 |
ケヤキ | ・美しい波状の木目が特徴・色・ツヤなど、個体差が大きい・耐久性は強い | ・神社仏閣、家具、装飾品 |
ウォールナット | ・濃い褐色と美しい木目が特徴・耐久性が高く衝撃に強い・経年変化を楽しめる | ・高級家具、楽器、建築 |
マホガニー | ・赤褐色・耐久性が高く加工しやすい・経年変化で色が深まる | ・高級家具、楽器、建材 |
【用途別】おすすめ木材
ここからは、用途別におすすめの木材を紹介します。
【家具制作】
- チーク:世界三大名木のひとつ。茶褐色で落ち着いた雰囲気があり、経年変化によってさらに色の深みが増します。長く愛用したい場合におすすめの樹種です。
- ウォールナット:世界三大名木のひとつ。柔らかな木目と、紫がかったダークブラウンが特徴です。高級感があり、経年劣化で色が明るく変化します。耐久性に優れているため、長期使用におすすめの木材です。
- メープル:清潔感ある明るい色合いが特徴です。衝撃に強く、触り心地も良いため、小さいお子さんやペットがいるご家庭に適しています。
- パイン(イエローパイン):白~黄色の明るい色合いで、木本来のナチュラルな風合いを楽しめます。軽量で柔らかく加工しやすいため、家具はもちろんDIYにもおすすめです。
- タモ:クリーム色で木目がはっきりしているのが特徴です。硬くて加工しやすく、弾力性もあるため、家具やテーブルに適しています。見た目と使い心地の両方を重視したい場合におすすめです。
【建築】
- スギ:軽量で加工しやすく、調質効果があります。DIY初心者でも扱いやすい木材です。ただし柔らかいため、傷がつきやすい点に注意しましょう。
- ヒノキ:直線的な木目と、白く上品な光沢、そして芳醇な香りが特徴です。耐湿性・耐水性にも優れ、柱や構造材、フローリング、浴槽などの高級建材として高い人気を誇ります。
- ヒバ:防虫・抗菌効果があり、耐久性にも優れています。香りが爽やかで、リラックス効果があります。柱や梁、土台、浴室など建築材にぴったりの木材です。
- マツ:粘りがあり、曲げ加工に適した樹種です。強度が高く耐久性にも優れているため、梁や桁、階段材、床材などに適しています。
- チーク:世界三大名木のひとつ。耐久性、防湿性、防虫性に優れており、幅広い用途に使われています。建築材のほか、屋外家具、高級家具などにも適しています。
【DIY】屋外
- ヒノキ:耐水性に優れており、防腐効果に強いのがメリット。手軽に入手しやすいため、DIY初心者におすすめです。
- ウリン:耐久性や耐水性に優れ、防虫や抗菌作用を持ちます。ウッドデッキや、ウッドフェンスにおすすめの木材です。ただし、硬くて重さがあるため、扱いが難しい場合があります。
- イペ:耐久性や耐水性に優れ、防腐・防虫効果もあります。水濡れや経年変化による色落ちにも強いため、屋外のデッキ材に適しています。
【DIY】屋内
- パイン集成材…欧米の松の木、パインの角材を接着剤でつなぎ合わせた材木。柔らかく粘りがあり加工しやすいのがメリットです。DIY初心者にもおすすめです。
- ベニヤ板…原木を回しながら削った薄い板のこと。価格が比較的安価で、扱いやすいため、お子さんの工作におすすめです。
- ラワン合板…熱帯地域に生息するラワンを薄くスライスし、接着剤で重ね合わせた合板のこと。反りや割れが少なく、適度な硬さがあります。ただし、木目が少なく、表面がざらざらしているため、家具の裏板に適しています。
木材選びのポイント
DIYで木材を選ぶ際、仕上がりの美しさや耐久性を左右する重要なポイントがあります。初心者でも安心して選べるよう、以下の3つのポイントをしっかり確認しましょう。
1、外観の確認
木材を選ぶ際は、ひび割れや欠け、ヤニ、大きな節がないかを確認しましょう。ヤニは、木材から染み出る樹液で、べたつきや変色の原因につながるため、ヤニが少ないものを選ぶのがおすすめです。
節とは、枝の付け根にある硬い部分のことで、釘打ちした際に、釘が曲がったり木材が割れたりする場合があります。
小さな節であれば、釘打ちする箇所に注意すれば問題ありません。しかし、大きな節は初心者には扱いにくく、釘打ちの失敗につながる可能性が高いため、避けた方が良いでしょう。
2、反りの確認
木材の反りとは、木材が収縮したり、たわんだりすることで起こる変形のことです。木材は、周囲の湿度が高いと水分を吸収し、低いと水分を放出する性質があります。このため、木材の含水率が変化し、反りの原因となるのです。
反りがある木材を使うと、正しい寸法で切断できない、組み立て時にすき間や歪みが生じるなど、仕上がりに影響がでます。そのため、縦横などいろいろな角度で目視し、なるべく反りがない木材を選ぶことが大切です。
3、用途に合わせた木材を選ぶ
ホームセンターでは、主に「無垢材」「集成材」「合板」の3種類が販売されており、DIYで木材を選ぶ際はこの中から選ぶ必要があります。これらの木材は、それぞれ特徴や適した家具が異なるため注意が必要です。
種類 | 特徴 | 適している家具 |
---|---|---|
無垢材(SPF) | ・1本の原木を切り出した木材・木目が強く、木本来の風合いを感じられる・傷がつきやすく、水に弱い | ・テーブルや椅子の脚・収納棚の柱 など |
集成材(パイン) | ・小さく切り分けた木材を接着剤で貼り合わせた木材・強度精度が高く、反りやひび割れが少ない・接着剤の種類によっては、ホルムアルデヒドなどの化学物質が放出される可能性がある | ・初心者からプロまで、幅広い用途で利用可能(テーブルの天板、収納棚など) |
合板(ごうはん) | ・薄い木材を接着剤で重ね合わせた木材・価格が比較的安価で、加工しやすい・接着剤の種類によっては、ホルムアルデヒドなどの化学物質が放出される可能性がある | ・家具、建材、DIYなど幅広い分野で利用可能 |
まとめ
木材は、柔らかく加工しやすい「針葉樹」と、硬くて丈夫な「広葉樹」の2種類に大きく分けられます。ただし、同じ針葉樹や広葉樹でも、色合いや木目、硬さ、手触りなどが違います。
そのため、木材を選ぶ際には、それぞれの特徴やメリットを確認し、用途や目的に適した樹種を選ぶことが大切です。DIYに適した木材も多くあるため、特徴をしっかり把握し、目的に合ったものを選びましょう。
木に関するお悩みは「旭川木工センター」にご相談ください!
「旭川木工センター」は、家具・建具・クラフト・木材・木工機械のメーカーが集まったプロ集団のコミュニティです。
合板加工、建具、家具など、さまざまな木工職人が所属する11社の中から、お客様の「木」に関するお悩みやご要望に応じて適切なサービスをご紹介します。
- カスタマイズしたい
- 家具を製作・注文したい
- 家具を修理したい
- 木材を探している
- 技術講師を頼みたい
こんなお悩みをお持ちの場合には、ぜひ「旭川木工センター」にご相談ください。
お問い合わせはこちら >