「木材にはどんな種類があるの?」「DIYには、どの木材を選べばいい?」そんな疑問をお持ちではありませんか?
木材は、用途に合わせて選ぶことが大切です。それぞれの木材の特徴やメリットが分かれば、用途に合った最適な木材が見つかるでしょう。
本記事では、旭川家具に精通する木工のプロが、木材の種類の一覧を紹介します。
木材の基本的な分類、サイズ・規格、色など、特徴やメリットを詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
木材とは?基本的な分類
木材とは、材料や原料として用いるために伐採・加工された樹木の幹の部分を指します。そのため、原木の種類や加工方法によって、見た目、手触り、強度、加工のしやすさが大きく異なります。
以下では、木材の種類と加工方法に分けて、それぞれの違いを詳しく解説します。
針葉樹と広葉樹の違い
木材の種類は、原木が針葉樹か広葉樹かによって、見た目や素材などが違います。
針葉樹の特徴
針葉樹は細長い葉をしており、空に向かってまっすぐ育ちます。内部構造は、主に「仮道管(かどうかん)」と呼ばれる細胞で構成されています。仮道管は、水を運ぶ役割と木の強度を保つ役割を担っており、その構造はシンプルです。
そのため、針葉樹は密度が低く、軽くて柔らかい性質があります。色合いは、白~黄色の明るく淡い色味が多いです。また、針葉樹には精油成分が豊富に含まれており、リラックスできるような落ち着きのある爽やかな香りを楽しめます。
なかでも、スギやヒノキは日本を代表する針葉樹で、その芳醇な香りと優れた特性から、建築、家具、工芸品など、幅広い用途で古くから愛用されてきました。
広葉樹の特徴
広葉樹は、手のひらのような丸みのある葉を持ち、背が低めで横に広がるように成長します。内部構造は、水を運ぶ「道管」が発達し構造も針葉樹に比べると複雑です。内部の密度も高く、触ったときに硬さや重さを感じられます。
「タンニン」などの色合いに影響を与える成分を多く含んでいるため、赤系から黒系までの重厚感ある色合いの木材が多く、時間の経過とともに深みが増していきます。
天然木と人工木の違い
伐採後の製材方法によって、木材は大きく「天然木」と「人工木」に分類されます。それぞれの違いについては、以下の通りです。
天然木
天然木とは、自然の木を切り出し乾燥させた木材のことを指します。集成材や合板のように、複数の木材を重ねたりつなぎ合わせたりしていないため、木本来の風合いや経年変化を楽しめます。
ただし、湿度や気温の変化により反りや割れが生じる場合があるため、ワックスやオイルを塗布するなどの定期的なメンテナンスが必要です。主な使用用途には、内装材、家具、DIYがあげられます。
人工木
人工木とは、プラスチック材と木粉を混ぜて成型した合成木材のことを指します。天然木に比べて耐水性や耐候性に優れ、害虫による被害や腐食にも強いのが特徴です。
天然木のような塗装や防腐処理などのメンテナンスは基本的に不要で、日々の掃き掃除と水拭き程度で済みます。主な使用用途には、ウッドデッキ、フェンス、ベンチなどがあげられます。
無垢材・集成材・合板の違い
木材は、用途に応じてさまざまな形状や寸法に加工されたうえで流通します。ホームセンターで手に入る木材の加工方法は、一般的に以下の3種類です。
無垢材
無垢材は天然木の一種で、一本の原木から切り出した、つなぎ合わせや重ね合わせなどの加工を施していない木材のことです。木本来の自然な風合いや香り、そして経年変化による味わいを楽しめる点が魅力です。
らに、調湿性に優れている点も大きな特徴です。湿気の多い季節には湿気を吸収し、乾燥時には放出することで、室内の湿度を調整する働きがあります。
木の温もりや自然な質感を楽しみたい場合におすすめの木材であり、フローリングや家具によく使用されています。ただし、乾燥や湿度の変化によって反りや割れ、きしみが起こりやすい点がデメリットです。
集成材
集成材は、小さい木材を接着剤で貼り合わせて作った木材のことです。 複数の木材を乾燥し繊維方向にそって接着するため、無垢材よりも耐久性に優れています。
合板
合板は、薄い板材を何層にも貼り合わせて作った木材のことです。無垢材と異なり、反りや割れが起きにくく強度が均一です。
価格も比較的安価で、カラーのバリエーションも豊富なので、壁や床などの内装材や家具の内側など幅広い用途に使われています。コストを抑えたい、好みの色を選びたい場合におすすめの木材です。
集成材と合板のデメリットとして、安全性の問題が挙げられます。集成材・合板は接着剤に化学物質を含む場合があり、シックハウス症候群のリスクがあります。特に小さなお子様や高齢者は注意が必要です。
木材の種類と特徴
代表的な樹種を針葉樹と落葉樹に分けて紹介しますので、それぞれの特徴やメリットをチェックしてみてください。
針葉樹(スギ・ヒノキ・マツなど)
- スギ…日本を代表する針葉樹で、もっともポピュラーな樹種のひとつ。軽量で加工性に優れ、調湿効果が期待できる。
- ヒノキ…美しい木目と肌触りの良さが特徴。防虫・抗菌効果があり、耐久性や防湿性にも優れている。
- マツ(パイン)…適度な柔軟性としなやかさがあり、加工しやすいのが特徴。価格も比較的低価格でDIYにも適している。
- ヒバ…独特の強い香り、美しい光沢と緻密な木目が大きな特徴。希少性が高く、コストが高い。防虫・抗菌効果があり、防湿性や防腐性に優れている。
- ホワイトウッド…ヨーロッパでもっともポピュラーな樹種のひとつ。軽量で加工しやすいが、耐久性は低い。白っぽい木肌が大きな特徴。
落葉樹(ナラ・カエデ・ウォールナットなど)
- ナラ…木目がはっきりしており、経年変化によって光沢が増し黄金色に変化するのが特徴。耐久性・耐水性に優れ、伸び縮みしにくい。
- カエデ…きめ細かな木肌で肌触りがよく、美しい光沢があるのが特徴。耐衝撃性に優れており、ボーリングのレーンなどにも使用されている。
- ウォールナット…三大銘木のひとつ。濃い褐色と美しい木目が特徴で、経年変化により色味が明るくなる。
- カバ…キメ細かい木目と白っぽい色合いが特徴。比較的加工しやすく、耐衝撃性・耐水性にも優れている。経年変化が少ない。
- ブナ(ビーチ)…真っ直ぐな木目と、ピンクがかった白褐色の美しい色合いが特徴。粘りがあり、曲げに強い。
木材のサイズ・規格の種類
木材のサイズや規格を表す際によく使われるのが、「1×4」や「2×4」といった表記です。これらの数字はアメリカのサイズ規格「インチ」に基づいており、木材の厚さと幅を示しています。
「1×4」や「2×4」で作られた木材のことをワンバイフォー材、ツーバイ材と呼びます。主に、ワンバイフォー材、ツーバイ材は北米やヨーロッパからの輸入木材が使われています。
これらのワンバイフォー材、ツーバイ材を選ぶ際には、呼び寸法と実寸法には差がある点に注意が必要です。
例えば、「1×4」は厚さ1インチ、幅4インチと考えがちですが、「1×4」のような呼び寸法は製材時の寸法に近い値を示します。実際には、木材が乾燥し収縮するため以下のサイズとなります。
サイズ | 断面のサイズ(およそ) |
---|---|
1×1 | 19mm×19mm |
1×2 | 19mm×38mm |
1×4 | 19mm×89mm |
1×6 | 19mm×140mm |
2×2 | 38mm×38mm |
2×3 | 38mm×63mm |
2×4 | 38mm×89mm |
2×6 | 38mm×140mm |
2×8 | 38mm×184mm |
長さは「国際フィート」が用いられており、1ft(フィート)あたり約304.8mmです。なお、ワンバイ材やツーバイ材のような輸入木材ではft(フィート)が使用されますが、国産木材ではメートル法が一般的です。
ホームセンターではフィート表記とメートル表記の両方を提示している場合がほとんどですが、サイズミスを防ぐためにも、両方の表記をチェックしましょう。また、木材のサイズの表記方法は「長さ×幅×厚み」の順番が一般的なので、見誤らないように注意しましょう。
木材の種類による色の違い
木材は大きく分けて、明るい色と濃い色に分類されます。白色から黄色などの明るい色味は、ナチュラルで他のインテリアと調和しやすいのが特徴です。
一方、黒、赤、茶色などの濃い色は、重厚感や高級感があり、落ち着いた上品な印象を与えます。
また、木材は経年変化によって色味が変化するため、この経年変化による色合いも考慮して選ぶことをおすすめします。
木材の色系統 | 樹種 | 経年変化した際の色 |
---|---|---|
白系 | メープル | 飴色 |
ホワイトアッシュ | 黄褐色 | |
シナ | 黄褐色 | |
黄色系 | パイン(松) | 飴色 |
ビーチ(ブナ) | 淡いピンク色 | |
カバ | 黄褐色 | |
黒系 | ウォールナット | 深みのある黒褐色 |
ウェンジ | 変化は少ない | |
赤系 | マホガニー | 深みのある赤褐色 |
チェリー | 濃い赤褐色 | |
レッドオーク | 深みのある赤褐色 | |
茶系 | チーク | 深みのある飴色 |
オーク | ||
ケヤキ | 赤みを帯びた褐色 |
木材の種類の調べ方

木材にはさまざまな種類がありますが、木目や色、硬さ、重さや香りの違いから、ある程度見分けることができます。
針葉樹
- 木目と色:木目は均等でまっすぐ通っており、明るいベージュ系から赤みを帯びた薄茶色など明るめの淡色系が多い。
- 硬さ:広葉樹よりも柔らかく、指で押すと沈みを感じる。
- 重さや香り:広葉樹よりも軽く、落ち着きのある爽やかな香りを楽しめる。
広葉樹
- 木目と色:木目はカーブを描くような不均等のものが多く、なかには木目が目立たないものもある。淡い色から深みのある色まで、カラーバリエーションが豊富。
- 硬さ:針葉樹よりも硬く、しっかりしている。強度が強く、耐久性にも優れている。
- 重さや香り:重く、ずっしりとしている。香りは控えめで、ほぼ感じられないものもある。
まとめ
木材は、大きく「針葉樹」と「広葉樹」に分かれます。さらに、製材方法や加工方法によって「天然木」と「人工木」、「無垢材」「集成材」「合板」などに分類されます。
同じ種類であっても、樹種によって木目や色、硬さ、色の風合いや性質が大きく異なります。それぞれの特徴やメリットをチェックし、用途や目的に合ったものを選びましょう。
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