家具やフローリングなどのインテリアを選ぶ際、「なんとなく、見た目のイメージで判断している」という方もいるでしょう。
実は、木材の色は薄い色から濃い色、その中間にあたる色まで、色合いも濃さもさまざまです。さらに、時間が経つにつれ、色が濃く変化したり深みが増す樹種もあります。
木材の色の種類や経年変化による色味の変化を把握すると、インテリア選びの楽しみが増え、より理想的な空間作りにつながります。
そこで今回は、旭川家具に精通する木工のプロが、木材の種類の色について詳しく解説します。経年変化による色の変化や、家具に使われる木材の色についても紹介していますので、インテリアを選ぶ際の参考にしてください。
木材の色の種類は全部でいくつ?

木材の色は一般的に茶系が多いですが、よく見ると白っぽく淡い色のものもあれば、赤や黒のような濃い色のものもあります。さらに、その中間にあたる色もあり、経年変化や加工によって色が変化する場合もあります。
このように木材の色は多様で、「色の種類の数」を明確に断定するのは難しいのが実情です。ここからは、木材の色を大きく「薄い色」と「濃い色」の2つのグループに分け、それぞれの代表的な種類を紹介します。
薄い色の木材の種類
白や黄色のような明るい色の木材は、部屋を明るく優しい雰囲気にしてくれます。また、合わせる色を選ばないため、どのようなインテリアにもなじみやすいのが魅力です。
ただし、経年変化によって黄色味が強くなる、赤みを帯びるなど、色味が大きく変化する場合があります。とくに、日当たりの良い場所では経年変化が早いため、使用場所や用途を十分に考慮して木材の色を選ぶことが重要です。
木材の色系統 | 樹種 | 経年変化した際の色 |
---|---|---|
白系 | メープル | 飴色 |
ホワイトアッシュ | 黄褐色 | |
シナ | 黄褐色 | |
黄色系 | パイン(松) | 飴色 |
ビーチ(ブナ) | 淡いピンク色 | |
バーチ(カバ) | 黄褐色 |
濃い色の木材の種類
黒や赤などの濃い色の木材は、重厚感や高級感があり、上品な印象を与えます。シックなインテリアやアンティーク家具との相性も良く、空間に力強い印象をもたらします。風格があり、長く愛用できる点も、濃い色の木材ならではの魅力です。
木材の色系統 | 樹種 | 経年変化した際の色 |
---|---|---|
黒系 | ウォールナット | 深みのある黒褐色 |
ウェンジ | 変化は少ない | |
赤系 | マホガニー | 深みのある赤褐色 |
チェリー | 濃い赤褐色 | |
レッドオーク | 深みのある赤褐色 | |
茶系 | チーク | 深みのある飴色 |
オーク(ナラ) | 深みのある飴色 | |
ケヤキ | 赤みを帯びた褐色 |
木材の色に違いが生まれるのはどうして?
木材の色に違いが生まれる理由には、木が育った土壌や地域などの環境が影響していることが挙げられます。また、同じ種類の木でも、経年変化によって色味が変化する場合もあります。以下では、そうした木材の色の違いが生まれる理由について詳しく解説します。
木の種類と成分による色の違い
木の種類はさまざまですが、大きく分類すると針葉樹と広葉樹に分かれ、それぞれ色合いに大きな違いがあります。
針葉樹に含まれる成分は、無色に近いセルロースやヘミセルロースが多く、色の濃さに影響するリグニンの含有量が比較的少ない点が特徴です。そのため、白色から黄色といった淡い色味のものが多く、光をやわらかく反射する特性があります。
さらに、広葉樹のような色素成分(タンニンなど)をあまり含まないため、全体として明るくやわらかい印象が感じられます。
一方、広葉樹はリグニンの含有量が多く、経年変化によって色が濃くなる傾向があります。また、タンニンなどの色素成分も豊富なため、濃い茶色や赤褐色など、重厚感のある色合いが特徴的です。
経年変化による色の変化
木は伐採されて木材として製材された後も、経年変化によって色や質感が変化していきます。経年変化による色の変化は、木材に含まれるリグニンが紫外線で分解されたり、タンニンや樹脂などが酸化することで起こります。
針葉樹と広葉樹は細胞構造の違いにより、経年変化のスピードが異なります。
針葉樹の経年変化
針葉樹は、「仮道管」と呼ばれる細長い細胞が規則的に並ぶ、シンプルで均一な構造をしています。そのため、内部まで紫外線の影響を受けやすく、色も淡いため、広葉樹に比べて経年変化のスピードが早い傾向があります。
広葉樹の経年変化
一方、広葉樹は、導管のほかに繊維細胞や柔細胞、放射組織など多様な細胞が入り混じっており、構造が複雑で密度も高くなっています。また、タンニンの酸化も比較的穏やかなため、経年変化はゆっくりと進みます。
塗装や加工による色の調整方法
木材は塗装や加工によって、色が変化する場合があります。例えば、屋内で使われる木材には、乾燥や汚れの付着を予防するためにウレタン塗装やオイル塗装を施します。
どちらも無色透明の塗料ですが、それぞれ異なる特徴やメリットがあります。
塗料 | 色の変化 | 塗装方法 | 特徴・メリット |
---|---|---|---|
オイル塗装 | ・やや濃く、深みのある色合い、淡い色の木材は飴色や赤みがかった色に変化する場合もある | ・木材の表面に塗装膜を形成させずに、木の内部にオイルを浸透させ表面を保護する塗装方法 | ・木本来の手触りや質感を保ちながら、保護効果を発揮する・塗装後も木の経年変化による風合いを楽しめる |
ウレタン塗装 | ・木本来のツヤ感ではない白っぽい光沢が見られる場合がある ・オイル塗装に比べ、経年劣化が起こりにくい | ・木材の表面を樹脂の塗膜で保護する方法 | ・傷や水によるシミを防げる ・水分や乾燥に強く、温度変化による反りや割れなどの劣化が起こりにくい |
家具に使用される木材の色の種類
家具に使用される木材の色は、大きく分けると白、黄色、赤、茶色、黒、赤の色系統に分類できます。以下に、家具に使用される代表的な木材を、色別に分けて紹介します。
木材の色系統 | 樹種 | 主な用途 |
---|---|---|
白系 | メープル | ダイニングテーブル、チェア、収納家具 |
ホワイトアッシュ | チェア、キャビネット、フローリング | |
シナ | 収納家具、子供用家具、建具 | |
黄色系 | パイン(松) | カントリー調家具、収納家具、DIY家具 |
ビーチ(ブナ) | チェア、テーブル、子供用家具 | |
バーチ(カバ) | チェア、テーブル、内装材 | |
黒系 | ウォールナット | 高級家具、ダイニングテーブル、チェア |
ウェンジ | チェア、テーブル、工芸品 | |
黒檀 | 高級家具、工芸品、楽器 | |
赤系 | マホガニー | 高級家具、アンティーク家具、楽器 |
チェリー | ダイニングテーブル、チェア、収納家具 | |
レッドオーク | ダイニングテーブル、チェア、フローリング | |
茶系 | チーク | 高級家具、デッキ材、船舶材 |
オーク(ナラ) | ダイニングテーブル、チェア、フローリング | |
ケヤキ | 和家具、座卓、床柱 |
なかでも、家具によく使われる木材で人気があるのが、世界三大銘木といわれるマホガニー、チーク、ウォールナットです。いずれも木目が美しく希少性が高い木材で、耐久性や加工性にも優れています。
【マホガニー】
マホガニーは、原木の表面に近い辺材と、中心部の心材で色味が異なります。辺材は白色から黄色で、光の当たり方によっては金色に見えることがあります。
心材は紅褐色から橙褐色で、辺材よりも赤みが強いです。経年変化により、赤みを帯び、深みのある色合いへと変化します。
【チーク】
チークは天然の油分を含んでいるため、独特のツヤと光沢があります。色は黄褐色から暗褐色で、経年変化により深みのある飴色へ変化します。耐久性が高く、屋外家具や船舶材として使われる場合が多いです。
【ウォールナット】
ウォールナットは、落ち着いた色合いと美しい木目が大きな特徴です。加工性・接着性・耐衝撃性に優れており、経年変化により明るい茶色へ変化します。主に、ヨーロッパの伝統的なアンティーク家具に使われています。
木材の木目模様の種類
木材の木目や色合いは、原木の種類や切り方によってさまざまに変化します。木目がはっきりと現れて存在感のあるものもあれば、目立ちにくくやさしい風合いを持つ樹種もあります。
木目の色は単に茶色いだけでなく、白っぽいものから黒に近いものまで幅広く、色味のバリエーションが豊富です。これらの木目の色は木の種類によって異なります。
原木を木材として加工する際、切り口の方向によって木目の見え方が異なります。そのなかでも代表的なのが、「板目・柾目・杢目」の3種類です。
- 板目:原木の年輪の中心からずれた部分を側面方向にカットした際に現れる木目。山形や波状など、不規則で動きのある模様が特徴。
- 柾目:原木の年輪に対して垂直方向にカットした際に現れる木目。平行に整った細い線状の模様が特徴。木目が薄く、すっきりとした印象。
- 杢目(ロータリー杢):原木を丸ごと回転させながら、樹皮に近い部分を削った際に現れる木目。渦巻き状の模様が特徴。個性的な印象で、装飾用途に適している。
まとめ
木材にはさまざまな色があり、一般的には茶系が多いものの、明るく淡い色から赤や黒に近い濃い色まで幅広く存在します。インテリアに取り入れる際は、部屋の雰囲気や目的に合わせて木材の色を選ぶのがおすすめです。
たとえば、空間を明るくナチュラルに仕上げたい場合は、ヒノキやパインなどの淡い色の木材が適しています。一方、シックで落ち着いた印象にしたいときには、ウォールナット、マホガニー、ケヤキなどの深みのある濃い色の木材が効果的です。
また、アクセントとして薄い色と濃い色を組み合わせることで、空間にリズムと個性を加えることも可能です。お好みの色や木目の木材を見つけて、自分らしいインテリアに仕上げましょう。
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