
椅子に使う木材は、見た目や手触りによって印象や使い心地が大きく変わります。また、木材ごとに傷のつきやすさや重さ、メンテナンス性も異なるため、何となく選んでしまうと後悔してしまうことも。
失敗しない椅子選びのためには樹種ごとの特徴をしっかり把握し、用途や設置場所、求める雰囲気に合わせて慎重に選ぶことが大切です。
本記事では、旭川家具に精通する木工のプロ「旭川木工センター」が、椅子におすすめの木材を用途別にわかりやすくご紹介します。ぜひ参考にして、自分にぴったりの一脚を見つけてください。
椅子に適した木材の種類一覧
椅子に適した木材の種類はさまざまですが、中でも見た目・耐久性に優れた樹種を紹介します。それぞれの特徴・メリットについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
オーク(ナラ)
画像引用元:カンディハウス|ルントオム チェアー(無垢)
オークは、ブナ科コナラ属の落葉広葉樹の総称で、日本では一般的に「ナラ」と呼ばれています。硬く重量があり、優れた耐久性・耐水性を備えているため、建材や家具、フローリングなど幅広い用途に使われているほか、洋酒の樽材としても有名です。
木目はまっすぐではっきりとしており、中には「虎斑(とらふ)模様」と呼ばれる虎の毛皮のような模様が見られることがあります。
ウォールナット
画像引用元:カンディハウス|WING LUX LD アームチェアー(背張)
ウォールナットは、クルミ科クルミ属の落葉広葉樹で、マホガニー・チークに並ぶ世界三代銘木のひとつです。他の木材にはない、紫がかった濃い茶色とまっすぐで美しい木目が特徴で、重厚感・高級感が感じられます。
また、耐久性にも優れており傷やへこみに強いため、使用頻度の高いダイニングチェアに最適です。
マホガニー
マホガニーはセンダン科マホガニー属の落葉広葉樹で、チーク・ウォールナットと並ぶ世界三大銘木のひとつです。
深みのある赤茶色の木肌が特徴で、磨けば磨くほど艶が増し、高級感のある美しい仕上がりになります。比較的柔らかく加工性に優れており耐久性も高いため、アンティーク家具に良く使われています。
ストライプ状の「リボン杢(もく)」と呼ばれる模様が美しく、見る角度によって黄金色に輝くような光沢も感じられます。経年変化により色味がさらに深まり、使い込むほどに味わいが増すのも魅力です。
チェリー
画像引用元:MUKU工房|WOW ウェッジスツール
バラ科サクラ属の落葉広葉樹で、ブラックチェリーやアメリカンチェリーとも呼ばれています。経年変化が非常に大きく、赤みを帯びた淡い色から1年ほどで飴色へと変化するのが大きな特徴です。
木肌は滑らかで、すべすべとした手触りのため、アームチェアにも適しています。木目は比較的穏やかで、木材によっては「リップルマーク(さざ波模様)」と呼ばれる美しい波紋状の木目が見られます。
タモ
画像引用元:MUKU工房|コサイン エントランスツール
モクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹で、硬くて頑丈でありながら弾力性に優れているのが特徴です。さらに、衝撃にも強いため、家具だけでなく野球のバットやラケットのグリップ部分などのスポーツ用品にも使用されています。
肌触りは滑らかで、まっすぐで均一な木目と明るくナチュラルな色合いが美しく、実用性とデザイン性に優れています。北欧テイストやナチュラル系のインテリアにもよくなじみます。
カバ
画像引用元:カンディハウス|サン ダイニング チェアー(座張)
カバノキ科カバノキ属の落葉広葉樹で、バーチやカバザクラとも呼ばれています。きめ細かく光沢のある木肌が特徴で触り心地が良いため、椅子に最適な樹種です。
まっすぐで均一な木目と明るくナチュラルな色合いが美しく、北欧テイストやナチュラル系のインテリアにもよくなじみます。
メープル
画像引用元:コサイン|コア チェア
メープルは、カエデ科カエデ属の落葉広葉樹の総称で、世界中に多くの樹種があります。なかでも人気が高いのは、シュガーメープルやブラックメープルなど「ハードメープル」と呼ばれる種類で、硬くて耐久性に優れているのが特徴です。
木肌は、白〜ベージュ系の明るい色合いで、清潔感がありナチュラルなイメージがあります。木目も穏やかで主張しすぎないので、他のインテリアとも合わせやすく使いやすい木材です。
無垢材の椅子の魅力
画像引用元:カンディハウス|納品事例・コーディネート
無垢材と集成材の大きな違いは、製材方法にあります。無垢材は一本の木から直接切り出した板や角材を指し、木本来の質感や色味、香りをそのまま楽しめるのが最大の魅力です。
さらに、同じ樹種でも一つひとつ木目や色合いが異なり、使い込むうちに色味が深まり、味わいが増していきます。
一方、集成材は小さな木片や小角材を接着剤で貼り合わせて作られているのが特徴です。無垢材よりも品質が安定し安価な場合が多いですが、木本来の風合いや質感、経年変化による味わいはやや劣る傾向があります。
また、無垢材にはさまざまな種類があり、見た目・耐久性・耐衝撃性など、用途や目的に応じて選べるのもポイントです。
特に、広葉樹は硬くて丈夫な樹種が多く、耐久性が求められる椅子に適しています。種類も豊富で、色合いや質感もそれぞれ異なるため、イメージにぴったり合うものを選ぶ楽しさもあります。
なお、無垢材として人気がある広葉樹は、オーク(ナラ)・ウォールナット・マホガニー・チェリー・タモなどがあります。
椅子の用途に合わせたおすすめの木材の種類
画像引用元:カンディハウス|ハカマ ダイニング ベンチ
以下では、椅子におすすめの木材の種類を用途ごとにまとめました。使用する場所や用途に応じて、自分にぴったりな種類を見つけてください。
ダイニングチェアに最適な木材
ダイニングチェアは主に、チェアタイプ・ベンチタイプ・アームチェアの3タイプに分かれます。
【チェアタイプ】
もっともスタンダードで、1人用で移動しやすい万能型です。掃除や部屋の移動などで持ち運びがしやすいよう、軽くて丈夫な木材を選ぶと良いでしょう。
おすすめの樹種…タモ・メープル・カバ
【ベンチタイプ】
2〜3人が座れるベンチ式タイプのチェアには、ある程度の重量に耐えられる強度と、長時間座っても疲れにくい弾力性を持つ木材がおすすめです。
おすすめの樹種…タモ・オーク(ナラ)・カバ
【アームチェア】
肘掛けがついたアームチェアは手触りの良さと、しっかりとした耐久性が求められます。
おすすめの樹種…ウォールナット・マホガニー・チェリー
カフェ・飲食店向けの椅子素材
カフェ・飲食店向けの椅子の素材は、「デザイン」「耐久性」「手入れのしやすさ」の3つに着目するのがポイントです。
【デザイン】
お店のイメージに合わせて、木材の種類を選びましょう。例えば、北欧・ナチュラルモダンなど明るいイメージであれば、木目が穏やかで優しい色合いのタモ・メープル・カバ・オークなどがよく合います。
和モダンやラグジュアリーなど、落ち着きのある高級な雰囲気には、色合いや木目が美しく重厚感が感じられるウォールナット・チェリー・マホガニーなどがおすすめです。
【耐久性】
カフェや飲食店では不特定多数の人が利用するため、しっかりとした座り心地と十分な耐久性がある木材がおすすめです。また、飲み物や食べ物の汚れがつきやすいため、毎日の掃除がしやすく清潔を保ちやすい素材を選ぶと良いでしょう。
なお、耐久性・耐水性に備えた樹種には、オーク(ナラ)・タモ・カバなどがあげられます。
子ども用・高齢者向けにも安心な木材
子どもや高齢者向けの椅子には、「安全性」と「快適性」を兼ね備えた木材を選びましょう。特に、丸く加工しやすい素材だと角が当たっても痛くなりにくく安心です。
また、座ったときに柔らかすぎず、しっかりと体を支える適度な硬さと安定感や、子どもや高齢者でも扱える軽さかどうかも考慮しましょう。
中でも、メープル・カバ・チェリーは、適度な硬さと衝撃への強さを兼ね備えており、子ども用や高齢者向けの椅子にも安心して使える素材です。
まとめ
ここまで、椅子に使う木材の種類について解説しました。
無垢材を使った椅子は、自然素材ならではの美しさや温もり、経年変化を楽しめる点が大きな魅力です。樹種ごとに色合いや質感、強度が異なるため、ぜひ本記事を参考に、用途やインテリアの好みに合わせて選びましょう。
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