木材防腐処理の種類と効果まとめ!用途別の選び方・処理方法について徹底解説

ウッドデッキやウッドフェンスに、色あせやひび割れ、表面のささくれなどの症状はありませんか?これらは木材の劣化や、シロアリ・カビ被害のサインかもしれません。

木材は自然素材のため、雨や湿気、害虫の影響を受けやすく、適切な防腐処理をしないと劣化が進んでしまいます。

そこで本記事では、木材の防腐処理の主な種類や効果をわかりやすく解説します。用途に合わせた防腐処理の選び方や、それぞれの処理方法の特徴・メリット・注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

木材防腐処理の目的と得られる効果

防腐処理とは、木材に薬剤を塗布・浸透させ、木材の耐久性と美観を維持する方法のこと。防腐処理によって得られる主なメリットは、以下の4つがあげられます。

  • 木材の耐久性が向上し、長期間にわたって使用できる
  • 腐食やカビ、シロアリなどによる劣化や被害を防げる
  • メンテナンスや修繕にかかるコストを抑えられる

木材の防腐処理の最大のメリットは、木材の耐久性を高め、腐食やカビ、シロアリなどによる劣化を長期間にわたって防げる点です。

木材は、土壌や空気中に存在する腐朽菌が繁殖することで劣化が進みます。腐朽菌は「養分・温度・湿度(水分)・空気」の条件が揃うと繁殖リスクが高くなります。特に、次の場所では腐朽菌が繁殖しやすいため、注意が必要です。

  • 屋外に設置されたウッドデッキやフェンス
  • 湿気がこもりやすい床下や基礎まわり
  • 風呂・トイレなど水回りの天井 など

腐朽菌が増殖すると、木材内部のリグニンやセルロース、セミセルロースといった主要成分が分解され、木材がもろくなってしまいます。さらに、腐朽によって柔らかくなった木材はシロアリの格好のエサとなり、シロアリ被害が広がる原因につながります。

こうした被害を防ぐためにも、防腐処理で木材の耐久性を高めることが重要です。適切な防腐処理を行えば、劣化による木材の交換や修繕の手間やコストの削減にもつながります。

木材の防腐剤の種類

木材用の防腐剤は大きく油性と水性に分かれており、用途や安全性、処理方法によって選び方が異なります。

油性防腐剤

防腐・防虫成分を石油系溶剤(シンナー)に溶かした防腐剤。木材内部まで浸透しやすく、高い防水性・耐久性を発揮します。乾燥時間が短く、仕上がりには光沢が出るのも特徴です。ただし、乾燥後も臭気が強く残るため、屋内での使用には適していません。

  • 代表的な薬剤:クレオソート油、ナフテン酸金属塩
  • 主な用途:鉄道の枕木、電柱、屋外の杭や外構材など、耐久性重視の木材

水性防腐剤

防腐・防虫成分を水に溶かした防腐剤。乾燥後の臭いが少なく、環境や人体への影響が少ないタイプが多いのが特徴です。屋内外のどちらにも使いやすく、DIYにも向いています。ただし、油性に比べると防水性はやや劣るほか、気温が低いと乾燥しにくい場合があります。

  • 代表的な薬剤:CCA、ACQ、AAC、CUAZ
  • 主な用途:住宅の土台、ウッドデッキ、フェンス、屋内木部、DIY全般など

【DIYからプロまで】木材防腐処理の主要な方法と選び方

木材の防腐処理方法には、DIYで手軽に行える「塗布・浸漬処理」と、工場などで専門業者が行う「加圧注入処理」があります。

塗布・浸漬処理:手軽に始めるDIY向け防腐処理

塗布処理は、最も手軽な方法でDIYにも向いています。ホームセンターなどで防腐剤を購入し、刷毛などで塗って乾燥させます。

浸漬処理は、木材を防腐剤に一定時間漬けて、表層まで薬剤を浸透させる方法です。刷毛を使わないため処理ムラが少ない点がメリットです。ただし、大量の防腐剤が必要なため、コストがかかります。

また、防腐剤は「浸透タイプ」と「造膜タイプ」に分かれます。浸透タイプは薬剤が木材内部に浸透して効果を発揮するため、割れや剥がれが起きにくく、塗り替えもしやすいのが特徴です。

一方、造膜タイプは塗膜が木材表面を覆い、ツヤのある仕上がりと高い防水効果が得られますが、ひび割れや剥がれが発生した場合は、古い塗膜をしっかり剥がしてから塗り直す必要があります。

加圧注入処理:プロが行う圧倒的な効果と持続性

木材を注薬管と呼ばれる密閉タンクに入れて、圧力をかけながら木材の深部まで薬剤を浸透させる方法です。木材の芯まで防腐剤が行き渡るため、長期間にわたり腐朽やシロアリ被害を防止できるほか、メンテナンスの手間も大きく減らせます。

DIYでは難しい方法ですが、耐久性を重視する屋外構造物には最も信頼されている処理法です。主に建築や土木工事、電柱、枕木など強い耐久性が求められる用途で採用されています。

木材の「腐り」と「シロアリ」が引き起こす深刻な問題とは?

木材の腐朽とシロアリが引き起こす問題については、主に以下の内容があげられます。

腐朽した木材の特徴

  • 表面が柔らかくなり、指で押すとへこむ
  • 黒ずみやカビ、異臭がする など

シロアリ被害の特徴

  • 木材内部がスカスカな状態となる
  • 木材を叩いたときに空洞音がする
  • 床下や壁に細長い通路のような「蟻道」が見られる
  • 木材を食べた後の粉状の木くずや茶色い糞が散らばっている など

特に、シロアリ被害は進行が見えにくく、気づいたときには修復コストが高額になるケースも少なくありません。見た目だけでなく、生活の安全にも大きな影響を及ぼすため、早めの予防や定期的な点検が欠かせません。

放置するとどうなる?劣化がもたらす危険と修理・交換コスト

木材が腐ったりシロアリに食害されると、建物の強度が著しく低下します。そのまま放置し続け、家の土台や柱など構造部にまで被害が及ぶと、最悪の場合、地震や台風などの災害時に倒壊するリスクが高まります。

また、壁や床が歪み、ドアや窓の開閉がしにくくなるなど、日常生活にもさまざまな影響が出てしまいます。

なお、腐食の補修費用は1~5万円前後が一般的ですが、大規模な補修となると100~300万円程度かかる場合もあります。腐食による劣化に気づいた際はそのまま放置せず、速やかに対処することが重要です。

まとめ

木材の防腐処理は、ウッドデッキやフェンスなどの屋外木部はもちろん、住まいの基礎や構造材を長く安全に使うために欠かせないメンテナンスです。

適切な処理を施すことで、腐朽やシロアリ被害といった深刻なトラブルを未然に防ぎ、将来的な修理や交換のコストを大きく削減できます。本記事を参考に、ご自宅やDIYの木材にもぜひ防腐処理を取り入れ、安心・安全で快適な住まいづくりを目指しましょう。

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