北海道産木材の魅力と選び方を木工のプロが解説!樹種・特徴・調達方法まで紹介

北海道産木材は、今、国産材として高い注目を集めています。厳しい寒さの中でじっくりと育った木々は、年輪が詰まり、緻密で強度や耐久性に優れているのが大きな特徴です。住宅や家具はもちろん、DIYやクラフトなど、幅広く活用されています。

しかし、「どんな木材があるの?」「どうやって手に入れるの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。そこで本記事では、北海道産木材の代表的な樹種や特徴、調達方法まで詳しく解説します。

北海道の木材の魅力と選ばれる理由

北海道は、四季を通じて気温や湿度が低く、特に冬は雪深く厳しい寒さに見舞われます。そんな厳しい環境のなかで、木々はゆっくりと時間をかけて成長し、年輪の詰まった緻密で丈夫な木材に育ちます。これが、美しい木目と丈夫な北海道産の木材の秘密です。

近年では、北海道産の木材に対する需要が高まっています。その背景には、海外からの輸入木材が減少し、国産材の安定供給が求められるようになったことがあげられます。

さらに、地域経済の活性化につながる「地産地消」への関心も広がっているため、北海道産木材の需要が増えているのです。

なお、北海道の森林面積は約554万ヘクタールにのぼり、全道の約71%、全国の森林面積の約22%を占めており、豊かな森林資源を有しています。

森林の伐採量は、天然林では昭和36年、人工林では昭和44年をピークに減少し続けていましたが、近年は輸入材の減少を背景に北海道産材の需要が上昇。木材の自給率向上に、つながっています。

※参照:一般社団法人 北海道造林協会北海道森林整備担い手支援センター「北海道の森林・林業」

北海道の主要な木材の種類と特徴

北海道の森林の約7割を占める天然林では、針葉樹と広葉樹が混在する「針広混交林」が広がっています。一方、人工林は約3割で、主に針葉樹が中心です。以下では、北海道を代表する木材の種類と特徴を、針葉樹と広葉樹に分けて紹介します。

針葉樹:建築材の定番からログハウス材まで

北海道産の針葉樹は、建築材として古くから多くの人々に選ばれてきました。年輪は細かく、丈夫で安定している点が北海道産針葉樹の魅力です。

アカエゾマツ

アカエゾマツは、マツ科トウヒ属の針葉樹。主に山岳地帯に分布し、湿原などの寒冷な環境で育った個体は成長が遅く、年輪が細かく詰まっているのが特徴です。

まっすぐ通った美しい木目ときめ細かな手触り、淡いクリーム色をしており、心材と辺材の境目が目立ちにくく、全体としてやわらかく上品な印象を与えます。

材質は、比較的柔らかく加工しやすいほか、強度は針葉樹の中では中程度です。建築材や建具材のほか、合板やパルプ材、楽器材など、幅広い用途で活用されています。

エゾマツ

エゾマツは、マツ科トウヒ属の針葉樹。低地から、標高1,500mの山岳地帯まで広く分布しています。非常に成長が遅いため、植林による木材生産には向かないといわれています。しかし、自然林に広く自生しており、蓄積量は比較的多いのが特徴です。

ヒノキに匹敵するほどの強度を持ちますが、摩耗しやすいため、擦れやすい用途には適していません。また、湿気や日光に弱いため、屋内での使用に向いています。

乾燥が容易で安定しているため、建築材のほか、バイオリンやオルガンなどの楽器材にも利用されています。

木肌は白く、まっすぐ通った木目です。アカエゾマツによく似ていますが、樹皮に大きな違いがあります。アカエゾマツの樹皮は赤みを帯びた薄い色をしていますが、エゾマツは黒く硬い鱗状です。

トドマツ

トドマツは、マツ科モミ属に属し、エゾマツと並び北海道で最もポピュラーな樹種のひとつです。日本国内では北海道のみに自生し、平地から山岳地帯まで広く分布しています。

エゾマツやミズナラなどと混生することが多い一方、場所によってはトドマツだけの純林も見られます。

北海道では庭木として親しまれており、クリスマスツリーや門松にもよく利用されます。秋には藍色を帯びた松ぼっくりが見られ、観賞用としても人気があります。

材質は軽くて柔らかく加工しやすいため、建材、家具、パルプ、梱包材、割り箸など、幅広い用途に用いられています。

広葉樹:家具や内装に映える美しい木目

北海道産の広葉樹は、美しい木目と木肌が魅力です。適度な硬さと重みがあり、耐久性や高級感にも優れているため、ダイニングテーブルやチェア、床材、建具などに幅広く用いられています。

ヤチダモ(タモ)

ヤチダモはモクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹で、木材は一般的に「タモ材」と呼ばれています。北海道の日高や十勝地方で、植林が盛んです。

タモ材は弾力性があり、さらに強度に優れ加工しやすいのが特徴。木肌は白みがかった明るい色味で、まっすぐな木目が美しく、他のインテリアとも合わせやすいです。

タモ材は、その見た目と優れた耐久性からフローリングなどの内装材として人気があるほか、野球のバットやテニスラケットなどのスポーツ用品にも広く使用されています。最近注目を集める和と北欧を融合させた「ジャパンディ」テイストとの相性も抜群です。

シラカンバ

シラカンバ(白樺)は、カバノキ科カバノキ属の落葉広葉樹です。最大の特徴は、白く美しい樹皮であり、この樹皮の色が「白樺(シラカンバ)」という名前の由来となっています。

寿命は比較的短く、大きく育つものは少ないため、主に観賞用の木として広く親しまれています。また、丸太のまま小屋の内装材にしたり、輪切りにしてプレートや花台などのクラフト材にしたりと、耐久性が求められない用途で使われています。

ミズナラ

ミズナラはブナ科コナラ属の落葉広葉樹で、日本国内では「ナラ」といえばミズナラを指すのが一般的です。北海道から九州まで広く分布し、冷涼な気候を好んで育ちます。

ミズナラは、水に強く耐久性に優れており、古くから建材や家具材として重宝されてきました。また、ウイスキーやブランデーなどの樽材としても広く利用されているほか、フローリングの床材としても人気があります。

さらに、丸太の中心から放射状に切り出す「柾目(まさめ)」には、虎の毛皮を思わせる「虎斑(とらふ)」と呼ばれる独特の木目が現れます。その美しい意匠性から、ミズナラは高級材として人気があります。

北海道産のミズナラは「ジャパニーズオーク」と呼ばれ海外でも高く評価されていますが、資源の枯渇により現在ではほとんど流通していない希少な材です。

北海道産木材を調達する方法

良質な北海道産の木材を調達するには、製材所や木工所から直接購入するのが基本です。また、イベントや展示会を利用するのも良いでしょう。

北海道では道産木材の利用促進に向け、自治体や森林組合、地域の工務店などによる取り組みも多く見られます。こうした動きをチェックすると、信頼できる供給元や最新の木材情報を入手できるでしょう。

製材所や木工所から直接購入するメリット

北海道産木材を製材所や木工所から直接購入した場合の主なメリットは以下の4つです。

  • 中間業者を通さないためコストを抑えられる
  • 実際に木材の状態を確認した上で購入できる
  • 寸法の指定や加工の相談に対応してもらえる
  • さまざまな樹種が手に入る

製材所や木工所で直接購入する際は、木材の色味や木目、乾燥状態などを自分の目で確かめながら選べるため、品質に納得したうえで購入できます。

さらに、寸法の指定や加工の相談にも柔軟に対応してもらえるため、自分の好みや用途に合った木材を見つけやすいです。

また、中間業者を介さずに購入できるため、コストを抑えられます。詳しい職人やスタッフが多く在籍しており、木材の特性や適した使い方についての専門的なアドバイスを受けられる点も心強いポイントです。

市場には出回りにくい希少材や、個性豊かな木目を持つ木材に出会える可能性があるのも、直接購入ならではのメリットといえるでしょう。

道産材のイベントや展示会の活用

北海道産木材を調達する際は、道産材のイベントや展示会を活用するのもひとつの方法です。

例えば、道産材を使った家具や小物、インテリアアイテムを展示するイベントでは職人や業者からアドバイスを受けたり、信頼できる製材所や木工所を教えてくれたりする場合もあります。

知っておきたい!北海道木材のメリットと選ぶ際の注意点

北海道産の木材は、寒冷な気候でゆっくりと育つため、年輪が細かく密になりやすく、強度や耐久性に優れているのが大きな特徴です。見た目にも美しい樹種が多いので、耐久性と見た目の両方を兼ね備えた木材を探している方に適しています。

さらに、地域資源として地元で調達できるため、輸送によるCO₂排出を抑えられる「環境負荷の少ない木材」としても注目されています。

ただし、北海道産木材を選ぶ際は、いくつかの注意すべきポイントもあります。

  • 使用目的を明確にする
  • 乾燥状態・反りや歪みがないかをチェック
  • 必要なサイズ・数量を確保できるかを確認

まずは、木材の使用目的に応じて樹種を選びましょう。例えば、耐久性に優れた樹種なら柱や梁などの構造材、木目が美しい木材なら内装材や家具材に使用するのがおすすめです。万が一、樹種選びで迷った際は、購入先の製材所や木工所に相談すると良いでしょう。

購入する樹種が決まったら、乾燥状態や反り・歪みがないかをしっかり確認しましょう。高温多湿な日本では木材の乾燥が難しく、特に国産材は適切に乾燥されたものを選ばないと、後々の反り・割れ・歪みなどのリスクにつながります。

これは北海道産木材に限らず、すべての国産材にも共通する注意点です。また、ミズナラなど希少な北海道産材は、流通量が限られているため、必要なサイズ・数量を確保できるか、さらに価格や納期もしっかり確認しましょう。

まとめ

厳しい寒さの中で育まれた北海道産木材は、強度や耐久性、美しい木目など、多くの魅力を備えています。アカエゾマツやエゾマツ、トドマツなどの針葉樹、ヤチダモやシラカンバ、ミズナラといった広葉樹など、多様な樹種が揃い、それぞれに個性豊かな特徴があります。

そんな北海道産木材を選ぶ際は、用途や希望するデザイン、必要な強度に合った樹種を見極めることが大切です。ぜひ本記事を参考に、自分にぴったりの北海道産木材を見つけ、その魅力を日々の暮らしの中で感じてみてください。

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