木材の種類によって強度は変わる?耐久性に優れた樹種を用途別に紹介します

木造住宅や家具、DIYで木材を選ぶ際に気になるのが「強度」。いくら見た目が良くても、耐久性が弱いと使用環境によっては長持ちしないリスクがあります。

さらに、塗装や貼り替えなどのメンテナンスで費用がかさんだり、安全性に問題が生じたりする場合も考えられます。これらのリスクを避けるためにも、用途に応じて適切な強度の木材を選ぶことが重要です。

そこで今回は、旭川家具に精通する木工のプロ「旭川木工センター」が、木材の強度について、種類の違いや選ぶ際のコツを詳しく解説します。用途別におすすめの樹種も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

木材の「強度」とは?

木材の強度は、ひとつの数値だけで表されるわけではありません。「圧縮強度」「引張強度」「曲げ強度」「せん断強度」「めり込み強度」など、作用する力の方向に応じて細かく分かれており、それぞれ評価方法が異なります。

強度の種類評価方法
「圧縮強度」木材の繊維方向に外圧を加え、変形・破損までにかかった力。
「引張強度」縦引張強度は、木材を繊維方向に引っ張り、破断するまでにかかった力。
横引張強度は、木材を繊維に対し垂直に引っ張り、破断するまでにかかった力。
「曲げ強度」木材の中央に荷重を加え、折れる直前にかかった力。
「せん断強度」木材の繊維方向に対し、両端上下に力を加えた場合の抵抗力。
「めり込み強度」木材の繊維に対し垂直方向に外圧を加え、変形までにかかった力。

木材の強度は、その種類ごとの特性があるため、用途に合わせて適切に選ぶことが重要です。

例えば、縦方向に荷重が加わる柱の場合は圧縮強度や曲げ強度、横向きの状態で上からの荷重がかかる梁なら、曲げ強度やせん断強度を重視する必要があります。

木材強度は何で決まる?

先ほども述べた通り、木材の強度にはさまざまな種類があり、当然ながら樹種によって異なります。ただし、同じ樹種でも部位や伐採した後の乾燥方法、保存環境などによって、木材の強度は変化します。

なお、木材の強度に影響を与える主な要素は以下の5つです。

1.木材の比重(気乾比重)

木材を乾燥させたときの重さと、同じ体積の水の重さを比べた値のこと。数値が大きいほど重くて硬い木材です。

2.含水率

伐採直後の木材は、水分を多く含んでおり、中には含水率が100%を超える樹種もあります。

木材の水分は、細胞の隙間に存在する「自由水」と、細胞の内部に結びついている「結合水」の2種類に分けられます。木材を乾燥させると、まず自由水が減少し、その後に結合水が徐々に減っていきます。

自由水がすべて失われた時点の含水率はおおよそ30%前後であり、この状態を「繊維飽和点」と呼びます。自由水が失われただけでは、木材の寸法や強度などには、ほとんど変化は見られません。

さらに乾燥し続けると結合水が減少し始め、木材の収縮が起こり、たわみにくくなるなど木材の性質に変化が生じます。

最終的に含水率が安定すると、木材として使用可能な状態となります。この、最終的に安定する含水率は「平衡含水率」と呼ばれており、屋外で使用する場合は15%、屋内で使用する場合は10〜12%が目安です。

乾燥させた木材に含まれる水分量の割合を表した数値には、「乾量基準含水率」と「湿量基準含水率」の2種類があります。主に、建築用の木材には乾量基準含水率が、製材チップには湿量基準含水率が用いられています。

含水率の計算式

乾量基準含水率含水率(%)={木材の乾燥前の重量(g) – 乾燥後の重量(g)}/乾燥後の重量(g) × 100
湿量基準含水率含水率(%)= {(乾燥前重量 – 乾燥後重量)/乾燥前重量} × 100

3.繊維の縦横方向

比重や含水率が同じ木材であっても、力が加わる方向によって強度は大きく異なります。一般的には、繊維方向に対して平行に力が加わる方が高い強度を発揮します。

4.品質・性能

当然ながら、亀裂やひびのある木材は、本来の強度を発揮できない場合があります。必ずしも強度に影響するというわけではありませんが、節の数や大きさにも注意が必要です。

節とは、幹が成長する過程で、枝が幹の中に巻き込まれてしまった部分のことを指します。木材をよく見ると、丸く茶色い目のような模様がありますが、これが節です。

節にも種類があり、中でも枝が生きている状態で巻き込まれた「生き節(いきぶし)」は、木材の強度への影響は少ないとされています。

しかし、枯れた枝が巻き込まれた「死節(しにぶし)」、死に節の一種で製材する際に抜け落ちてしまう「抜け節(ぬけふし)」は、木材の強度低下につながります。

節があると、硬く加工しにくい、ヤニが出やすいなどのデメリットがあるため、基本的に節がない木材を選ぶのが良いとされています。また、節の数や大きさはJASの目視等級区分を決める要素のひとつです。

  • 無節…節がひとつもなく、木目がきれいに現れている木材
  • 上小節…直径が10mm以下の生き節、または5mm以下の生き節以外の節が2mに対して3個以内。2m以上の場合は4個以内(木口の長辺が210mm以上の場合は6個以内)。
  • 小節…直径が20mm以下の生き節、または10mm以下の生き節以外の節が2mに対して5個以内。2m以上の場合は6個以内(木口の長辺が210mm以上の場合は8個以内)。
  • 並…直径が20mmを超える節の合計が、木口の長辺の70%以下

参照:農林水産省「製材の日本農林規格」

5.形状

一般的に、断面方向に厚い木材は強度が高い傾向にあります。さらに、角柱形より円柱系の木材の方が外力を均等に分散できるため、圧縮強度が高くなります。

強度の高い木材の種類

ここからは、強度の高い木材の種類を国産材・輸入材別に紹介します。強度の種類はさまざまですが、なかでも気乾比重が高く、硬さに優れた木材を中心にピックアップしました。

国産材

樹種気乾比重用途
イスノキ0.89家具、フローリング、器具、楽器(三味線、琵琶の撥など)、機械、ろくろ細工など
イチイカシ0.81器具材(工具・道具の柄、槌など)、機械材、車両材、船舶材、建築材、運動器具、薪炭材など
ケヤキ0.69建築材、家具材、タンス、ちゃぶ台、和太鼓の胴の部分、漆器(盆・椀)など
ナラ0.67家具の材料や内装材、化粧単板、ウイスキーの醸造樽など
タモ0.65ボートのオール、ホッケーのスティック、ドア枠、階段、カウンター、フローリング、家具材など

輸入材

樹種気乾比重用途
リグナムバイタ1.24~船舶のスクリューのベアリング、数珠など
ウリン0.92~1.04ウッドデッキ、屋外用フェンスなど、屋外用の木材
ホワイトオーク

0.75建材、外装材、内装材、家具、客車の製作など、おおよそ木材が使用できる様々な目的で利用
ハードメープル0.72ボーリングのレーンの床材、ピアノ、運動器具、家具や住宅の羽目板の表面材など
チーク0.57〜0.69船舶・家具などの材料や建築材、フローリングなどの内装材、家の外装材
マホガニー0.66キャビネットや椅子などの高級家具や、彫刻の材料、ギターのネックなど
ウォールナット0.64家具材や彫刻、化粧単板、銃床、楽器の材料など

参照:日本木材総合情報センター「日本の木材・海外の木材 一覧と検索|木材の種類と特性」

まとめ

ここまで、木材の強度の種類について解説しました。

木材は、圧縮や引っ張り、曲げなど、力が作用する方向に応じて強度の種類が分かれています。さらに、含水量や節の数、品質、形状など、強度を決める要素もさまざまです。

そのため、木材選びでは用途や目的に応じて、適切な強度の木材を選ぶ必要があります。柱に使う際は圧縮強度が強いものを、椅子の背もたれなど変形しながら製作する際は曲げ強度が高い木材が適しています。

木材が持つそれぞれの特性を理解し、適材適所で使うことが重要です。

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