東邦木材が歩んだ90年の歴史と、未来へ繋ぐ「五分と五分」の商売

北海道・旭川に拠点を置く、木材会社の「東邦木材」。 多種多様な木材をそれぞれに合った場所で活かす販売の根底には、1931年の創業から90年以上の歴史の中で培われた、地道でていねいな「仕分け」と、「売り手と買い手は五分と五分」という誠実な商売の姿勢が流れていました。

今回は、旭川木工センターのWEBマーケティングに携わっているライターが、東邦木材が歩んできた時代の波と、他社とは少し違うアプローチで木材と向き合い続ける理由について、お酒とカラオケが大好きな丸田社長にインタビューをしました。

激動の時代を生き抜いた、独自の「仕分け」とネットワーク

木材業界が大きな変化を迎える中、東邦木材はどのようにして会社を守り続けてきたのでしょうか? その背景には、買い付けた木材を少しも無駄にしない工夫と、同業他社さんとの深い絆がありました。  

家具業界の変遷と直面した壁

東邦木材の長い歴史の中では、決して順風満帆な時期ばかりではありませんでした。かつては好景気に沸いた時代もありましたが、その後は深刻な不況が訪れました。さらにライフスタイルの変化によって婚礼ダンスなどの需要が激減し、多くの家具メーカーが姿を消していくという厳しい状況に直面することになります。 

手間を惜しまずすべてを引き受ける「仕分け」

そうした環境の中で、東邦木材の確かな強みとなっていったのが「仕分け」です。一般的な木材の仕入れでは、よく売れるサイズや状態の良い木材だけを選んで買い付けることが多いのですが、東邦木材ではあえて数千万円単位の木材をすべて一括で買い取ります。

買い取った大量の木材は自社の土場に入れられ、幅や長さ、状態ごとに細かく分類されていきます。少し状態が良くない木材であっても、加工用原料(建築用集成材など)として無駄なくすべてを使い切ります。この地道な仕分け作業こそが、他社には真似できない確かな土台となっています。

業者間で助け合う「キャッチボール」の文化

すべてを一括で引き受ける仕入れ姿勢は、同業他社との間に強固な信頼関係を生み出しました。業界内では「キャッチボール」と呼ばれていますが、在庫が足りない時や逆に余っている時に、業者間でお互いに木材を融通し合うネットワークが築かれています。

他社が少し扱いにくいと感じるような材が含まれていても、引き受ける度量がある。それが結果として、安定した仕入れと販売のパイプを構築することに繋がっているのです。 

広葉樹の魅力と、自社工場を守り抜く想い

北海道ならではの豊富な広葉樹を扱う東邦木材。数ある樹種の中でも特に価値を見出している素材の魅力と、海外展開を経験しながらも国内の製造現場を守り続ける理由について迫ります。

自宅に選ぶなら広葉樹の最高峰「ミズナラ」

東邦木材は、北海道産の木材をはじめとした広葉樹を豊富に扱っています。もし社長ご自身がご自宅を建てたりリフォームしたりするなら、どの樹種を選ぶのでしょうか? その答えは「ミズナラの柾目(まさめ)材」だと教えてくれました。

ミズナラは広葉樹の中でも優れていることで知られ、世界的にも有名なウイスキーの樽に使用されるほど確かな品質を持っています。特に年輪に対して垂直に切り出す「柾目」の材は、水分が漏れにくく狂いが少ないというすばらしい特性があります。

太い丸太の限られた部分からしか取れないためとても価値が高く、美しさと機能性を兼ね備えた素材として高く評価されています。

海外展開での苦労と、国内製造を続ける理由

これまで東邦木材は、旭川から秋田、福岡、そして中国へと拠点を広げてきました。中国での展開では、文化の違いや通訳を介することによる意思疎通の難しさなど、多くの苦労があったといいます。現在では中国語を直接話せる営業社員を中心に据えることで、スムーズなやり取りを実現しています。

また、海外製の安いフローリングが多く流通する現代でも、国内の自社工場での製造を続けているのには理由があります。

それは、長年一緒に働いてきた生産工場と製造社員を守り抜くためです。厳しい状況からフローリング製造へとシフトし、立て直しを図ってきた背景には、国内の製造現場を絶やさないという強い想いが込められています。

誠実な姿勢を次世代へ。卸売りから「小売り」への新しい一歩 

長年培ってきた商売の姿勢を次の世代へどう引き継いでいくのか。そして、時代のニーズに合わせてビジネスモデルをどのように変化させていくのか。東邦木材が思い描く未来の形をご紹介します。 

売り手と買い手は「五分と五分」

無垢材は、季節や湿度の変化によって数ミリ単位で伸縮する性質を持っています。東邦木材では、そうした木材のメリットだけでなくデメリットも、事前にお客様へ正直に伝えています。

創業100年が見えてくる中、若い社員たちに伝えているのは「売り手と買い手は五分と五分」という姿勢です。森林で何十年、何百年と育った木を伐採し、乾燥させて製品にするまでには、1年半もの長い時間と多くの労力がかかっています。

だからこそ、過度にお客様扱いをするのではなく、互いにリスペクトし合える関係性を築き、腰を据えて商売に向き合うことを大切にしています。お客様から「北海道の木を使いたい」「地元の木を使いたい」と言っていただけることが、何よりの喜びだと丸田社長は語ります。

地場に根ざした小売り展開へのシフト

未来のビジョンとして東邦木材が描いているのは、従来の大量に販売する「卸売り」から、建築、設計業者様、家具メーカー様に向けて必要な分だけを販売する「小売り」へのシフトです。小ロットでの対応を増やすことで取引先の件数を着実に伸ばし、経営基盤を安定させる取り組みを進めています。

今後は札幌や福岡だけでなく、本州エリアへの拠点拡大も視野に入れています。時代に合わせて柔軟にビジネスモデルを変化させながら、東邦木材はこれからも確かな品質の木材を全国へ届けていきます。

まとめ

前身の会社も含めると90年以上の歴史を持つ東邦木材が守り続けてきたのは、決して目立つことのない地道な「仕分け」の徹底と、同業者たちと助け合う強固なネットワークでした。

木材のメリットだけでなく、伸縮するといったデメリットも隠さずに伝える姿勢。そして、過度なアピールでお客様扱いをするのではなく、「売り手と買い手は五分と五分」というフラットな関係性を大切にするからこそ、本当に価値のある素材を提供し続けられるのだと、今回のインタビューを通して感じました。

時代が変わり、卸売りから小売りへと形を変えても、木材に対する真摯な向き合い方がブレることはありません。もし、長く大切にできる良質な木材を住まいに取り入れたいとお考えならぜひ一度、東邦木材へご相談してみてはいかがでしょうか。

東邦木材のHPはこちら

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